東京藝術大学大学院染織研究領域1年成果展

「ショートバカンス」

金田真咲 木下はるか 島方皓平

長谷川博子 山田珠子

2019年2月18日(月)ー2月23日(土)

11時30分ー19時30分(最終日16時まで)

レセプション:2月18日(月)17時〜

成果報告展に寄せて

 

学部を卒業して制作研究者としての1年間の成果を発表する展覧会である。

タイトルの「ショートバカンス」と作品はそれぞれに何の関連性があるのか、意味不明である。ひょっとして1年の制作疲れを癒す?何とも優雅な気分ではないか。体を休めることは大切だが、本人達が気づかないうちにショートバカンスの連続になっているとしたら如何なものか。

こちらもショートバカンスな気分で、新しい感覚で機知に富んだタイトルだと気を取り直して考えてみることにする。

金田真咲、木下はるか、島方皓平、長谷川博子、山田珠子は五者五様で、研究テーマも異なるし作品の方向性も様々だ。ノッティングによる織、リピートによる絵画的スクリーンプリント、フェルトによるインスタレーション、ネット(網)と精神世界の関連性からの造形、布の経年変化が生み出す物、こちらもなかなか説明しづらい。それだけに個性と表現に対する可能性が内在しているのかもしれない。ちょっとよく考えすぎか。

それぞれに未消化なものが多すぎて、こちらの頭脳まで霧がかかってきそうで五里霧中状態に陥りそうだ。

今度は少し厳しく見過ぎか。

作品の質は人間が規定するものだから人に感動を与える(おそらくそんなことは今どきの感覚ではないだろう)かといって自己満足でも困る。共感ぐらいは必要だろう。鑑賞者との手がかりはどのように考えているのだろうか。素材の位置付けはどうなっているのだろうか。技法や技術は必要なものなのか。それらと表現との関係は、ショートバカンスが欲しくなってきた。

まだ修士1年だ、あと1年もすれば私の考えていることは杞憂となればいい。

学生には大いに悩んでもらって楽しく制作に臨んで「なるほど」と感嘆する作品を見せてほしい。

ここに並んでいる作品はそれだけの可能性を秘めている。

東京藝術大学美術学部工芸科

染織研究室 教授 上原利丸