樋口恭一 展
- Whispering in Stone V -
9月16日(月)~10月2日(水)
11時30分〜19時[日曜休廊]
土曜祝日17時30分 | 最終日16時
※展示期間が変更になりました
石がうまく組み合ったり、積み上がったりした瞬間の快感。
とりわけ何も加工せず偶然にピタッときた時。その惚れ惚れする様な石と石との合わせ目の表情との出会いは、僕の心を天にも昇る歓喜の絶頂に導く。
この感じは、美を追求する芸術家が辿り着く境地とは明らかに違う。
数年前に気づいたこの感じ。これは、かつての石工が日々の肉体労働の中で、時折感じていた喜びに近いものであると思っている。
僕がもし、ルネッサンス時代に生きていたら。ミケランジェロの下で働く彫刻家集団を志すのではなく、カラーラで石工となり妻が作ってくれる自家製の塩がきいた生ハムをパンに挟んだお弁当を持ち、バチカン宮殿建造のための大理石採掘場に通う。毎晩ワインを楽しむ。夏の休日はマリーナで日光浴をしながらビールを飲んで妻と過ごす。そんな石工になることを望むだろう。
日本で今。本当の石工になれなかった僕は、制作という時間の中で意図してできなかったことと、意図せずできてしまったことの狭間を彷徨いながら、空想の石工となり、自分が生きているという実感を楽しんでいる。
樋口 恭一
樋口恭一 HIGUCHI Kyoichi
1959 東京都生まれ
1987年東京造形大学彫刻科を卒業し、具象表現を基本とした作品を1993年まで国展に出品。1994年抽象表現に転じてからは、個展を中心にして活動を続け、2006年設立同人として現代日本彫刻作家連盟の設立に参加しました。2010年度文化庁新進芸術家海外研修制度において研修員としてイタリアへ派遣され、2017年現代造形表現作家フォーラム運営委員となり現在に至っています。
<個展>
1992 ギャラリー・オカベ/東京都(’95)
1998 銀座小野画廊/東京都(’99 ’06)
2004 駒沢住宅ギャラリー櫟/東京都(’07 ’10)
2013 川越市立美術館/埼玉県
2019 ギャラリーせいほう/東京都
<’10年以降の主な企画展グループ展>
2010 第4回現代日本彫刻作家展/東京都美術館(’07〜’16全10回)
2011 New Vision Saitama 4 /埼玉県立近代美術館
2012 YEAR END EXHIBITION OF MINI・SCULPTURES 2012
/ギャラリーせいほう(以降毎年)
2013 第3回伊佐沼工房展/伊佐沼工房ギャラリー/埼玉県(以降毎年)
2014 第1回花とみどり・いのちと心展/国営昭和記念公園(以降毎年)
2017 第1回現代造形表現作家フォーラム/東京都美術館(以降毎年)
フォーラム/東京都美術館(以降毎回)