原透展
- 切光 -
6月30日(月)~7月12日(土)[日曜休廊]
11時30分〜19時00分
土曜:17時30分まで|最終日:16時まで

近年、切光というシリーズに取り組んでいます。この作品のコンセプトは切ることができない、時間、空間、光などを切断するイメージを形にしています。切光には、中国語で切り尽くすという意味があるようです。造形的には鋭角な三角形を用いて、切るという行為に内在している、ある種の危うさを表現したいと考えています。制作のきっかけとなったのは、東京国立博物館で大包平(おおかねひら)という太刀を見たことから始まりました。「この神聖さすら感じる物はいったい何なのだろう。私が学んできた西洋型の彫刻理論では理解できない。これは全くちがう造形原理で造られたものではないか。」と感じました。もちろん日本刀は彫刻ではありません。造形物として認識してみると、細長い鉄を素材とした薄い板状で量(マッス)とは無縁です。しかし、そこには彫刻家にとって最も魅力的な、人を引き付けずにはおかない美しさと圧倒的な存在感があります。これがどこからきているのか、形(フォルム)を通して探ってみたいと思いました。制作では素材として最初に石材を使いました。石は人間が初めて作った切断道具の材料であったからです。しかし、硬くもろい特性が薄い造形に向かないため、近年は木材で制作しています。金属はあまりに直接的との考えから、現在は使用していません。切光シリーズの制作を始めて10年になります。しかし、大包平が持っている崇高で深淵な領域に、形を通して少しでも近付けるのは何時の事になるのでしょうか。
原 透
※大包平(所蔵 東京国立博物館)
国宝指定名称「太刀 銘備前国包平作(名物大包平)」平安時代末期につくられた日本刀。現存する全ての日本刀中の最高傑作と言われている。
原 透 TORU HARA
1978年 東京都立芸術高等学校卒業
1987年 東京造形大学研究生修了
1990年 文化庁芸術家国内研修員
[グループ展 公募展]
1984年
- 第58回国展入選(以後、毎回出品)
1990年
- 第1回石空間展(以後、毎回出品)
1993年
相模湖町野外美術館彫刻展出品(神奈川)
1998,99年
C.J.A.G展(クラコウ国立博物館Manggha・ポーランド・スロベニア)
2001年
第4回みちの造形展(相模原市・神奈川)5回~10回出品
2013年
第21回大田原市街かど美術館(美術散歩イン黒羽)
2014年
- 公募団体ベストセレクション美術2014(東京都美術館)
- 十日町石彫プロムナードの作家展(星と森の詩美術館)
2017年
石彫の現況2017(現代彫刻美術館)
[受賞・コンクール]
国展:1984、'87 / 新海賞'85 / 新人賞'90 / 会友優作賞 / 会員推挙
1993年
- TAMAライフ21国際野外彫刻展(東京)
2000年
- 淡路夢舞台国際石彫コンクール・シンポジウム2000入賞(兵庫)
2003年
- 秋田県立武道館モニュメントコンペ入賞(秋田)
2006年
- 芝浦アイランド彫刻コンクール CAPE特別賞 受賞(東京)
2008年
- 第35回長野市野外彫刻賞 受賞(長野)
2011年
- 第24回UBEビエンナ-レ(山口県・宇部市)
2012年
- 第12回KAZIMA彫刻コンクール(東京)
2013年
- 第10回風の芸術展 協賛賞受賞(鹿児島県枕崎市)
2015年
- 日本芸術センター第5回彫刻コンクール 審査員賞
2018年
- 第15回特別記念KAJIMA彫刻コンクール(東京)
2020年
- 第16回KAJIMA彫刻コンクール(東京)
[個展]
かねこあーとギャラリー(2001)/高島屋 日本橋店(2008)/yyギャラリー(2012)/いりや画廊(2016、2018、2020、2022)/東京芸術センター(2017)/川越市立美術館(2019 )/東京ガーデンテラス紀尾井町(2020)
[平面作品展]
2013年
- 第3回「ドローイングとは何か」展<準大賞>
- 原 透・西山溜依 二人展(ギャルリー志門)
2014年 第4回「天の果実」原 透展(ギャルリー志門)
[彫刻シンポジウム]
盛岡(1990)/八王子(1995)/大田原市・那須野が原(2002)/十日町(2013)
[パブリックコレクション]
東京都〈葛飾区・八王子市・清瀬市〉/ 栃木県〈大田原市・矢板市〉/ 兵庫県〈神戸市、淡路島〉神奈川県<秦野市・厚木市> / 秋田県〈秋田市〉/ 長野県〈長野市〉/ 鹿児島県〈枕崎市〉/新潟県(十日町市)
現在:国画会彫刻部代表会務委員/日本美術家連盟理事