渡辺敏子の作品のタイトルは、2001年以来ずっと変わらない。そのタイトルは、Message from Faraway。

「遠い彼方からのメッセージ」。眼には視えない身体の外から聴こえてくるメッセージを絵に（絵画化）しようとしている。

不可視の声（メッセージ）を視覚化して説明しようとするのではない。視覚と触覚や聴覚にも訴えかけながら、その絵の前に佇む者と対話し、全身で受け止め聞き耳を立てさせる。つまりは、身体化しようとしているのだ。あらかじめ、答が判っているのではない。作品と取り組みながら探りつづけ、作品の前に佇み、作品を観ながら「遠い彼方の不可視のメッセージ」を聞こうとする。それは、不可視の声を巡り辿る旅に似ている。 （‘不可視の声を巡り辿るー渡辺敏子の近作に寄せて’より部分）

木下長宏（美術史・美術評論）

 

・渡辺 敏子　略歴　

紙に岩絵の具、水干絵具や銀箔などの日本画の素材を使用して制作をしている。できるだけ作者の意図が作品に投影されない偶然性に頼る手法を用い、戸外で身体の動きを伴いながら制作をしている。最近では従来のスタイルに加えて楮のオブジェを作り始め、二つのスタイルの作品を合わせたインスタレーション展示を行っている。

 

主な個展

2020　ポラリス ジ アートステージ（鎌倉、神奈川）

2019　いりや画廊（北上野、東京）

2015／2017／2019　ギャラリー檜B・C  (京橋、東京)

2015／2014　ギャラリーモナ ( 麻布十番、東京)

2012／2009／ 2007　ギャラリー風　(銀座、東京)

2010／2006／2005　東京国立博物館茶室（上野、東京）

2005／2003／2001　コバヤシ画廊（銀座、東京）

2000／1999　ギャラリーなつか（銀座、東京）

 

主なグループ展

2020　“Meeting Place Gallery Iriya”　シャスティン・スヴァンベリ＆エヴァ・ホグベリ＆渡辺敏子3人展

2020　いりや画廊（北上野、東京）

2020　“earth and air” フローレンス・マセウィン＆渡辺敏子2人展 ギャラリー風（銀座、東京）

2018　“Contemporary Art from Japan part3” ギャラリー クレッツェン(セーデルテリエ、スウェーデン)

2017　4人展“夜の森”ギャラリーモナ（麻布十番、東京）

2016　シャスティン・スヴァンベリ＆渡辺敏子2人展 “Sorrow and Hope”

2016　　　　Western Wyoming Community College（ワイオミング、アメリカ）

2016　“Contemporary Art from Sweden part 2”　赤レンガ倉庫（横浜）

2016　“Japan Paper Art” Edsvik Art Hall (ソレンテューナ、スウェーデン)

2014　“Contemporary Art from Japan part2”

2014　セーデルテリエ アートホール、サルツコーグガルド (セーデルテリエ、スウェーデン)

2014　“Happening in Nature” G Stenlander（ストックホルム、スウェーデン）

2014　シャスティン・スヴァンベリ＆渡辺敏子 2人展 “Sorrow and Hope” ギャラリ檜plus（京橋、東京）

2013　アーティスト・イン・レジデンス 　ライヤーズ ハウス (クラン、スロヴェニア)

　　　 クラン国際ファインアート フェスティバル (クラン、スロヴェニア)

2013　“日本現代の掛軸展”ヴィルニュス アート アカデミー (ヴィルニュス、リトアニア）

2012　“Contemporary Art from Sweden” 横浜赤レンガ倉庫 (横浜、神奈川）

2012　“Global Marks” リサ パッピ＆渡辺敏子2人展

2012　　　　Western Wyoming Community College(ワイオミング、アメリカ）

2011／2008／2006　“CAF.N展” 埼玉 近代美術館 (埼玉）

2011　“スロヴェニア独立20周年記念祭展”（ストックホルム 、スウェーデン）

2010　“Contemporary Art from Japan”ルナ アートホール(セーデルテリエ、スウェーデン）

2010　“Tokyo to Wyoming”Western Wyoming Community College（ワイオミング、アメリカ）

2008　“Kakejiku‐Contemporary Art from Japan”　国立海外美術館（リーガ、ラトヴィア）

 

パブリック・コレクション

・アラニヤーノシュ記念博物館（ナジサロンタ、ルーマニア）

・レイヤーズハウス（クラン、スロヴェニア）